民進党の代表選のさなかですが、3人の候補者全員が影響を受けていると思われる政治思想があります。それは「分断社会を終わらせる」という本を書いた井手英策教授の政治思想です。私も以前にこの本に感銘を受け、ブログで書評を書いたことがあります。
この本の主張を私なりにまとめると次のようになります。
格差が拡大して分断された社会を終わらせるためには、「小さな政府」志向から脱却し、社会保障を充実させるために負担増も受け入れる。その代わり受益と負担がバランスしていて、国民が広く受益を実感できる社会保障制度を構築する。つまりは「広く負担し、広く受益する」ことにより、「みんなでみんなを支える社会」をつくる。
井手さんの理論はとても納得でき、民進党の政策の基軸にすべきだと思います。その井手さんの政治哲学を、候補者の3人とも取り入れているように思えます。
前原さんは、井手理論を前面に出した公約を出しています。また前原さんは井手教授との共著の本も出しています。
玉木さんも演説の中で「分断された社会」というフレーズを使っているのを耳にしました。井手さんの著書の影響を受けている様子です。
蓮舫さんの公約集を見ても、何となく井手理論が反映されている印象を受けます。自信はありませんが、おそらく蓮舫さんご自身かブレインが井手さんの著書を読んで参考にしていると思われます。
この3人の候補者の誰が民進党に代表になったとしても、おそらく井手理論の影響は大きくなるでしょう。民進党の公式イデオロギーは、井手理論の「だれもが受益者という財政戦略」ということになるでしょう。
民進党の理論的基盤となるべきなのは、井手理論の「だれもが受益者という財政戦略」だと私も思っていました。3人の候補者が井手理論の信奉者のようなので、安心しています。
皆さんにも「分断社会を終わらせる」をぜひお読みいただきたいと思います。
「ハードカバーの本を1冊読むのは大変だ。そんな時間がない」という方のために私が書評を書いておきました。書評が要約になっていますので、ぜひ書評をご一読ください。なお、私の書評はなかなか出来がよい、と井手さんにも評価していただきました。そんなに的外れな要約ではないと思います。