参議院議員選挙が始まりました。最初の仕事は、大雨のなか公営掲示板のポスター貼りです。私の地元の福岡3区だけで831枚のポスターを貼る必要があります。大雨のなか大勢のボランティアが一斉にポスター貼りに走り回ります。選挙というのは、見えないところで大勢の人たちに支えられています。
今回の参議院選挙の結果次第では憲法改正の動きが加速します。安倍総理の悲願は憲法改正です。自民党憲法改正案は、9条を改正しようとしたり、自衛隊を「国防軍」にしたり、家族観や個人の信条にまで統制しようとしたり、と危険な香りと余計なお世話がいっぱいです。憲法改正も参院選の核となるテーマです。
2014年12月の衆議院選挙では、安倍総理は「この道しかない」と叫び、アベノミクスの推進を主要な争点に設定しました。そのアベノミクスはあまり成果があがらず、経済成長率や実質賃金は低迷し、消費税増税を再延期せざるを得なくなりました。株価はあがり、大企業の企業収益は伸びましたが、個人消費は伸びていません。景気回復の実感もなければ実態もありません。安倍政権は経済成長至上主義でやってきましたが、経済成長には失敗し、格差を拡大させてきました。
2014年衆議院選挙の自民党の選挙公約では、集団的自衛権にはほとんど触れず、あまり争点にはなりませんでした。にもかかわらず、選挙で圧倒的な議席を確保すると、世論の反発を無視して解釈改憲による集団的自衛権の拡大を強行しました。選挙公約の長いリストのなかにほんのちょっとでも記述があれば、「国民の信認を得た」などと強弁するのが安倍総理の特徴です。
また、2014年衆議院選挙の安倍総理の最重要の公約のひとつは、消費税増税延期と同時に二度目の増税延期はしないという約束でした。安倍総理は「再び延期することはない。ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします」と述べました。衆議院選挙の最重要公約を破るのであれば、衆議院選挙をやり直すのが筋かもしれません。選挙のときに約束しても、「新しい判断」があれば約束を破ってよいとなれば、選挙公約の意味がなくなります。
この選挙の意義のひとつは、「どんな社会をめざすのか」という点です。格差の拡大に無頓着な自己責任社会をめざすのか、格差の小さな共生社会をめざすのかの分かれ目です。アベノミクスとアベ政治は、強い者、富める者のための政治です。子どもの貧困が深刻になり、格差は拡大し、不寛容な社会になりつつあるのは、政治にも大きな責任があります。格差拡大が経済成長の足かせになることが明らかになった今こそ、再分配政策を強化して格差を縮小する必要があります。公共事業や補助金のバラマキではなく、子育て、介護、看護、教育など人への投資を拡充するべきです。安倍政権下で昔ながらの利益誘導政治が復活し、予算規模が膨張を続けています。受益と負担のバランスを回復し、みんなで負担とリスクを供給し、みんなが受益者となる仕組みを構築していく必要があります。
大事な国政選挙です。国や社会のあり方を立ち止まって考えるよい機会です。どんな社会が望ましいのか、どんな政治が必要なのか、みんなで考える機会にしていただきたいと思います。