スコットランド、EUと沖縄

イギリスっておもしろい国ですね。正式名称は「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国」ですが、最初からイングランド人、スコットランド人、アイルランド人、ウェールズ人と多様な民族を抱え、さらにアジア系やアフリカ系、東欧系の移民集団が増えており、アイデンティティというのが政治的に重要なテーマです。

ちょっと前には、スコットランドがイギリスからの離脱をめぐって住民投票をやりました。今度は、イギリスがEUからの離脱をめぐって住民投票をやります。キャメロン首相も大変です。スコットランド人には「イギリスから離脱するな」といい、イギリス人には「EUから離脱するな」といい、たいへんな時期に首相になってしまいました。

スコットランドの独立運動は、日本にとって他人事ではありません。沖縄で2件続いた米軍(及び米軍関係者)の事件、米軍普天間基地の辺野古移設問題などにより、沖縄県民の中央政府や米軍に対する怒りは強まる一方です。辺野古移設に対する安倍政権の強硬な態度が続けば、スコットランドのように独立運動が始まってもおかしくない状況といえるかもしれません。

沖縄県民の自己決定権を尊重しなくては、国家統合の危機を招きかねません。安倍総理は「保守」を自称するならば、沖縄県民が独立運動を余儀なくされないよう、最大限の配慮をすべきです。辺野古移設問題や米軍基地問題に関して、思いきった政策転換が必要です。

グローバル化が進む時代というのは、ローカルのイニシアティブが強まる時代であるという逆説があるのかもしれません。「地方創生」などという気の抜けたキャッチコピーによるバラマキ政策よりも、地方の自己決定権を強化する取り組みの方が重要なのだと思います。

安倍総理は、反対を押し切って「毅然」としてものごとを進めるのが、強いリーダーシップだと勘違いしているように思います。国政選挙で勝ったからといって「選挙独裁」が許されるというわけではありません。少数意見や地方の意見にも耳を傾ける必要を感じていないのが、安倍政治の「嫌な感じ」の正体だと思います。参議院選挙でも沖縄の民意は示されることでしょう。それを安倍政権が無視したら問題はさらに深刻化することでしょう。