いまは現職の議員ではないので、残念ながら新党の綱領や政策づくりに参加することはできません。しかし、もし自分が党幹部や党政調メンバーだったら、社会的弱者や少数派にやさしい政治を目指す「少数派連合」を形成して政権獲得を目指す戦略をつくります。
正直に申し上げると、民主党のフランクリン・ルーズベルト大統領の「ニューディール連合(New Deal Coalition)」のパクリです。ニューディール連合は「少数派連合(Coalition of Minorities)」とも呼ばれ、「少数派でもひとつひとつ足し合わせていけば、過半数を超えて多数派を形成できる」という逆転の発想といえる戦略です。
ニューディール連合は、南部の伝統的な民主党支持基盤に加え、当時のアメリカの少数派である都市住民、移民層、黒人層、宗教的少数派(カトリック含む)、労働組合などで構成され、その後の数十年にわたる民主党優位をもたらしました。
ルーズベルト大統領は、「初めて本格的な貧困対策に取りくんだ大統領」として評価され、世界恐慌で急増した貧困層の救済に力を入れました。ニューディール連合以前の民主党は南部の地域政党的な性格が強かったのですが、少数派や貧困層の支持を基盤とすることで安定した政権を維持しました。
いまの安倍一強政治は、「強い者の政治」であり、大企業(特に輸出企業)に有利な政策が多く、財界(経営者)や株主の意向に沿った経済政策が中心です。経済的弱者や少数派に配慮した政治を目指し、日本版の「少数派の連合:Coalition of Minorities」を目指すことが、安倍政権への対抗策として有効だと思います。
では、日本で「少数派」はだれでしょうか? 1920年代のアメリカとは状況が異なります。現代日本で考えると、非正規雇用の労働者、女性、ワーキングプアと呼ばれる労働者、「官製ワーキングプア」と呼ばれる非正規公務員や非常勤教員、不況しか知らない若い世代、シングルマザーや父子家庭、貧困に苦しむ子どもたち、障がいのある方やその家族、過疎地や離島の住民、原発再稼働よりも再生可能エネルギーを重視する人たち、いまだきびしい状況に置かれている東日本大震災の被災者といった人たちが、弱者であり「少数派」と言えるかもしれません。
弱い立場の人たち、不利な状況に置かれている人たち、差別や社会的排除に苦しむ人たち、そういう人たちの声を結集して「日本版ニューディール連合」を形成し、自民党政権に代わる受け皿とするのがよいと思います。民主党を中心とする新党は、そういう連合体を目指すべきです。
安倍政権との対抗のためにも、単なる名称変更に終わるのではなく、目指す方向性を明確化した方がよいと思います。綱領や規約を変えるときには、女性議員を増やす「クオータ制」を一気に導入したり、環境や気候変動に対処する強い姿勢を前面に出したり、新しさを強調したらとよいと思います。「不平等や経済格差と戦い、子どもたちの未来を守り、やさしい社会・共生社会を目指す」という旗を、党として高く掲げてほしいと思います。