5月29に市民連合と野党各党は政策協定を結び、参議院選挙に向けた体制づくりが進みつつあります。5月28日には野党党首会談が開かれ、全国に32ある参院選一人区で候補者を一本化する方針を確認し、30選挙区で候補者が絞られつつあります。一人区で与党と野党の一騎打ちの構造に持ち込めば、よい戦いになるでしょう。
いよいよ参議院選挙モードです。衆参同日選挙のうわさもありますが、ここでは一切無視して参院選だけに焦点をしぼって分析します。
まず消費税増税延期の是非はあまり争点にならないと思います。政府もこれだけ10月の増税準備を済ませてしまうと、いまさら増税延期の信を問う解散総選挙はないと思います。粛々と消費税増税の方向で進み、野党が反対しても大きな争点にはなりにくいでしょう。
では何が参院選の争点かといえば、憲法改正の発議が可能になる3分の2の議席を改憲派(自民、公明、維新)で守れるか、という点になると思います。
参院選で3分の2の議席を守れなかったら、安倍総理の敗北だと思います。これまで数年の間、衆参ともに与党で3分の2を占める状態が続いていました。
憲法改正論者の立場から見れば、文字通り千載一遇のチャンスでした。この機会を逃せば、次に憲法改正の発議のチャンスがいつ回って来るかわかりません。
従って、次の参院選で3分の2を失えば、改憲論者から見れば「安倍総理は3分の2の議席をもっていた数年間いったい何をやっていたんだ。もっと早く改憲の発議をすべきだった。」となると思います。その気になれば強引にでも発議できたのに、みすみす発議のチャンスを逃したことになります。
安倍総理は「憲法改正の発議ができるのに、しなかった首相」として歴史に名を残します。したがって、安倍総理から見れば、3分の2の議席を確保できるか否かが隠れた最重要テーマです。
それでは参議院の現有議席数をもとに分析します。要点を箇条書きします。
- 選挙後の参院の議席数は245。そのうち3分の2は164議席。
- 非改選の参議院議員のうち、改憲派(自民、公明、維新、無所属の一部)は78人。
- 従って、今回の参院選で改憲派は、86議席を獲得する必要がある。
- 改選議席数は124。
3年前の改憲派の獲得議席は78でした。それを86議席まで伸ばすのは簡単ではありません。野党の立場から見れば、憲法改正を阻止するためには、39議席を野党が確保すればよいことになります。これは十分に狙えるラインです。
一人区で野党共闘が実現し、かつ、野党各党が比例票をきちんと積み上げれば、39議席以上は現実的に目標達成可能だと思います。野党第一党の立憲民主党は特に責任重大です。安倍総理を勝たせないためにがんばります。