先日の民進党の党大会で評判がよかったのが、慶応大学の井手英策教授のスピーチでした。井手教授は、民進党の「尊厳ある生活保障総合調査会」のコーディネーターです。井手さんのような新進気鋭の学者にとっては、特定の政党と近いと見られるのはリスクです。政治的は発言をしたり、特定の政党を支持したりすると、学者仲間の評価にも響くことでしょう。政府与党の審議会や調査会に協力するのは、「政府の政策推進に協力するため」という大義名分が使えるので、対外的に説明がつきやすいです。しかし、野党の調査会の中心メンバーに就任するのはかなりのリスクです。まして多くの人から見たら「落ち目の民進党」です。井手さんの英断に心から敬意と感謝の意を表します。
ちなみに、井手さんは私と同じ福岡県出身、同世代(団塊ジュニア世代/ロスト・ジェネレーション)ということもあり、親近感を持っています。前から「井手理論の時代が絶対に来る」と確信しておりましたが、思った異常に早く注目され、民進党の主流の政治思想になりつつあります。
ふり返るとターニングポイントは、昨年秋の民進党の代表選でした。前原誠二候補が井手理論を前面に出して代表選公約をつくり、蓮舫候補や玉木雄一郎候補も井手理論の影響を受けた形跡がうかがわれる公約を掲げました。代表選が終わってみると、当選した蓮舫代表も井手理論の影響を受け、党の方向性が固まりました。前原さんが「尊厳ある生活保障総合調査会」の会長に就任し、井手さんに調査会のコーディネーターをお願いしたようです。
民進党の次の国政選挙マニフェストの骨格は必ず井手理論になります。格差で分断された日本社会を修復するため、「みんなでみんなを支える社会」をつくるための具体策が党内で検討されています。次の民進党マニフェストには期待できます。負担から逃げずに安心できる社会保障制度をつくり、格差や子どもの貧困の問題を解消するための処方箋ができつつあります。
蛇足ですが、私の過去のブログは、井手理論のエッセンスを知るには便利です(自画自賛)。私の書評については、井手さん本人からお褒めの言葉をいただきました。よろしかったらご一読ください。
「書評:分断社会を終わらせる」
「民進党で流行の政治思想」