本日(4月14日)も衆議院本会議が開催されました。都知事が集会等の自粛を要請するなか、都内で最大級の集会だと思います。新型コロナウイルスは国会関係者の間でも広がり、昨日は衆議院職員や自民党議員の秘書の感染も確認されました。そんななかでも国会審議は行われています。
緊急事態に対処するためには、対策の裏付けになる予算審議や法改正も必要です。危機の最中であっても行政監視は必要であり、国会は開いていなくてはならないと思います。しかし、不要不急の審議はやるべきではないし、ましてや危機対応の最中に担当大臣を別の案件にあたらせるのは問題だと思います。
本日の衆議院本会議の主な議題は「年金制度の機能強化のための国民年法等の一部を改正する法律案」の趣旨説明と質疑でした。加藤勝信厚生労働大臣が同法案の趣旨説明と質問への答弁を行いました。
加藤厚労大臣は、まさにコロナ対策の第一線のもっとも重要な大臣です。経済対策は主に西村大臣があたるにせよ、医療関係の対策の司令塔は加藤厚労大臣です。その厚労大臣が、いま年金法案改正の審議にあたらなくてもよいと思います。
年金制度の機能強化が「不要」だとは言いません。しかし、コロナ危機が去った後に審議すれば十分です。オリンピック・パラリンピックも延期になったので、国会を延長しても何の支障もありません。
コロナ対策で法改正も必要になるでしょうし、補正予算も二次補正が必要になるかもしれません。東日本大震災の年の通常国会は70日間も延長して8月末まで開いていました。おそらく今年の通常国会も延長せざるを得ないし、こういう時は国会を大幅に延長して、開きっぱなしにしておいた方が安全です。たとえば、薬事法の一部改正といった「ちょっとした改正」だけど、急ぐ法改正が必要になるかもしれません。たまに週刊誌などが「国会を1日開くと〇億円」といった記事を書きますが、国会職員の人件費等の固定費は国会を開いていても閉じてもあまり変わりません。国会を開くための限界費用はさほど変化しません。
国会を大幅延長した上で、コロナ危機が落ち着いた頃に、慎重に年金法案を審議すれば十分だと思います。加藤厚労大臣が国会で年金法案の審議にあたっている間は、コロナ対策にあたる時間が減ってしまいます。大臣だけではなく、厚生労働省の職員も年金法案の審議に人手を取られてしまいます。
加藤厚労大臣や厚労省職員には、いまはコロナ対策に全力をあげてほしいと思います。年金制度の議論は、コロナ危機が落ち着いた後の7月か8月くらいでよいと思います。安倍内閣のプライオリティの置き方は誤っていると思います。危機管理というより、管理危機に陥っていないか心配です。