内閣委員会「筆頭理事」という仕事

いまの私の仕事のひとつは衆議院内閣委員会の「理事」です。内閣委員会が担当する分野は多岐にわたります。内閣府、内閣官房、人事院、宮内庁、警察庁等の役所の案件は、内閣委員会の所掌になります。

短い臨時国会ですが、今国会では「給与法改正案」「サイバーセキュリティ基本法改正案」「天皇の即位に関わる祝日法」の3つの法案は少なくとも審議します。国会が延長されれば、追加で別の法案も審議するかもしれません。公務員の給与に関わる法案、祝日に関わる法案など、国民生活に直結した法案も審議され、最も重要な常任委員会のひとつとされます。

内閣委員会には40人の委員がいます。そのうち委員長(自民党)が1人、理事が8人です。理事は議席数に応じて各会派(各党)に割り振られます。与党側は自民党の理事が5人、公明党の理事が1人です。野党側は立憲民主党の理事が1人(=わたし)と国民民主党の理事が1人です。

さらに理事の配分はないけれども、特別に理事会に参加できる資格として「オブザーバー」と「傍聴」というものがあります。議員数の少ない日本共産党と維新が「オブザーバー」という立場、自由党が「傍聴」という立場で、理事会(および理事懇)に参加しています。「オブザーバー」と「傍聴」には、理事会の議決権はありませんが、発言は委員長の判断で許されます。

委員会の審議の日程、手続きなど、こまごまとしたことを含め、理事会で決めます。理事会の前には与野党の代表者(筆頭理事)が協議し、委員会審議の運び方について決めていきます。私は野党側を代表する「野党筆頭理事」というポジションについています。

野党筆頭理事としては、(1)他の野党との意見調整、(2)与党筆頭理事との交渉(「筆頭間協議」と呼びます)、(3)立憲民主党所属の内閣委員との調整、(4)立憲民主党の国会対策委員会との調整、といった仕事をします。

立憲民主党は野党第一党なので、他の野党の意見を聴いて調整し、野党を代表して与党と交渉します。さらに内閣委員会には立憲民主党の委員が私の他に6人いますが、その6人との連絡調整や質問者の決定も私の仕事です。

立憲民主党の委員の7人で交代で質問に立つのですが、それぞれに専門性や関心領域があります。ある人は子ども・子育て政策について質問したいと言ってくるし、ある人は沖縄県の辺野古基地の問題について質問したいと言ってきます。さらに国対委員長の指示で片山大臣の政治資金疑惑を追及する質問を入れることになったりします。

立憲民主党内の調整も重要な役割で、「だれを質問者にするか」「どのテーマで質問をするか」「どの大臣に質問するか」といった判断を迫られます。内閣委員会は担当の政策分野が広いので、選択に迷います。

そんなこんなで月曜日から金曜日まで、いろんな政党のいろんな人と調整するのが、野党筆頭理事の重要な仕事です。調整業務に追われていると、質問の用意に時間をとることもむずかしく、自分で質問に立つ機会はあまり多くありません。以前の国対委員長代理のころの仕事と似ています。国会対策の最前線で戦うのは、各委員会の筆頭理事であり、国対委員長代理というポストは後方の司令部要員のようなものです。

筆頭理事という仕事は、質問力や政策力よりも調整力が必要な仕事です。与党の筆頭理事と一日に何度も会ったり電話したりして話し合い、ちょっとずつ譲歩し合って折り合いをつけるという地道な作業の連続です。派手さはみじんもありません。それでも重要な仕事です。日々地味にがんばっております。