統一会派はかんたんじゃない

民進党は、立憲民主党と希望の党に対し、3党による国会内の「統一会派」を申し入れました。立憲民主党は、「希望の党との統一会派には応じられない」という理由でお断りしました。基本政策が一致しないからこそ、希望の党は立憲民主党に参加した議員や候補者を「排除」したわけです。いまさら3党で統一会派ということはあり得ません。

しかし、民進党と希望の党の2党の統一会派交渉は、いまだに行われているようです。統一会派というのは、そんなにかんたんなものではないと思います。

希望の党のいわゆる「チャーターメンバー」の人たちは、民進党の方針が気に入らなくて、民進党を見限って希望の党に先に移ったわけです。その人たちがあっさりと民進党の基本政策に賛同できるはずはないでしょう。

同時に、民進党の一部の人たちは、安保法制や憲法改正に関して希望の党の方針とあい入れないはずです。「希望の党とは一緒にやれない」と言っている民進党参議院議員を何人か知っています。

たとえば、自民党と公明党は長い間、連立政権を維持してきました。それでも自民党と公明党は、国会では別々の政党として活動しています。自公は「連立政権合意書」という名の政策協定を結んで連立政権を形成しています。自民党と公明党のような長年の付き合いの政党でさえ、統一会派にはなっていません。

おそらく「統一会派」と呼ぶくらいなので、国会では原則として統一的な投票行動をとるのでしょう。党議拘束をかけないのであれば、統一会派になる必要はありません(もっと言えば、統一会派になるべきではありません)。

たとえば、カジノ法案への対応でも、民進党、立憲民主党、希望の党で投票行動が一致しそうにありません。それでも統一会派を呼びかけるのには、ちょっとムリがあります。どんな意図があるのか理解できません。

ムリして民進党と希望の党による2党の統一会派を結成しようとしたら、希望の党からはチャーターメンバーの人たちが出ていきそうだし、民進党からはリベラル派が出ていきそうな気がします。

そんな中で民進党と希望の党の統一会派結成となれば、それをきっかけに両党から離党者が出ることが予想されます。離党者を出してでも、大きなかたまりを作りたいという強い意志や何らかの意図があるのでしょうか。その点もよくわかりません。

統一会派というやり方以外にも野党間で連携協力する方法はあります。国会では日常的に野党国会対策委員長間で話し合い、安倍一強に対抗しようと協力しています。国政選挙が近づけば、漁夫の利を自民党に持っていかれないように、「すみ分け」的な選挙協力の道もあるでしょう。

ムリして統一会派を作る以外にも野党間の連携のあり方はいろいろ考えられます。民進党と希望の党の統一会派交渉をきっかけにいろんな動きが出てくるかもしれませんが、統一会派はかんたんじゃないと思います。