地元で配布している国政レポート第42号『自民党「原子力立国」VS 立憲民主党「自然エネルギー立国」』を転載します。ご一読いただければ幸いです。
自民党政権「原子力立国」の失敗の歴史
自民党政権は2006年「原子力立国計画」以来、一貫して原子力発電を推進してきました。福島第一原発事故後も原発再稼働と原発輸出を進め、今後も原発依存度を高める方針です。東芝は、米国の原発メーカーのウェスティングハウス社を約6,400億円で買収しましたが、福島第一原発事故後の安全規制強化による原発建設コスト急騰で同社は倒産しました。東芝は、その損失の穴埋めに半導体部門、白物家電部門等の優良部門を売却しました。日立による英国の原発建設も、建設コスト高騰で断念し、3,000億円の損失を出しました。日立のリトアニアの原発建設計画は国民投票で否決。三菱重工のトルコの原発建設計画も建設コスト高騰で断念。東芝、日立、三菱重工の三社の台湾の原発建設計画も中止。日本の大手メーカーは、政府の「原子力立国」のかけ声のもと原発輸出を試み、すべて失敗しました。まれに見る愚策でした。
懲りない安倍政権は2018年 第五次エネルギー基本計画を閣議決定し、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけました。原発は「運転コストが低廉」と主張しますが、そこにウソがあります。原発のコストに建設費が含まれません。既存の原発も安全規制が強化され、より高コストになりました。さらに原発のコストには、福島第一原発事故の事故処理費用も入っていません。最終処分場はいまだに決まっていませんが、何百年も先まで処分場の維持管理費がかかります。これらの見えないコストまで含めると、原発は非常に高コストの電力源です。
立憲民主党がめざす「自然エネルギー立国」
世界では「自然エネルギー革命」が進んでいます。新設の太陽光発電の発電コストは10年間で90%下がり、新設の風力発電のコストは10年間で70%低下しました。太陽光発電は10年で27倍、風力発電は10年で4倍も伸びました。政府の無策により日本は自然エネルギー革命に乗りおくれています。自然エネルギーは、温室効果ガス(CO2)の削減だけでなく、地域の雇用創出、化石燃料の輸入代金の節約につながり、経済政策としても有望です。
福岡県でも自然エネルギー立国に向けた取り組みが進んでいます。みやま市の「みやまスマートエネルギー」は、エネルギーの地産地消に取りくみ、民主党政権時にできたFIT(自然エネルギー固定価格買取制度)を利用し、市と地銀と市民や市内事業者が出資して5000kWメガソーラー施設を設置しました。発電により収益を上げて出資者に還元し、地域に雇用を生み出し、かつ、CO2削減に貢献し、一石三鳥の効果です。みやま市(人口3万8千人)の年間の電気料金は47億5千万円です。外部の電力会社から電気を買えば、そのお金は域外に流失します。しかし、地域で電気をつくれば、地域のなかでお金が循環し、地域経済が活性化します。
また、みやま市は廃校になった小学校を活用し、2016年にバイオマスセンターを建設しました。一日当たり生ごみ10トン、し尿42トン、浄化槽汚泥78トンの合計130トンを処理しています。生ごみ等を処理して発生するメタンガスを燃やしてコジェネ発電(熱電併給)を行うとともに、発酵後の液体は「液肥」となって米、麦、ナス、菜種等の栽培に活用されています。生ごみから出るメタンの温暖化効果は、CO2の温暖化効果の25倍です。メタンを燃やすことで空気中に排出せずにすみ、温暖化対策に有効です。また、バイオマスセンターで生ごみを仕分ける作業は障がい者の雇用につながっています。生ごみを分別すると焼却ゴミが3~4割も削減でき、ゴミ焼却コストが大幅に削減できます。バイオマスセンターで出る液肥は無料で、農家は肥料購入費を節約できます。それだけでなく、液肥を使った野菜や果物は食味も良く、液肥は有機肥料なので「有機栽培」という付加価値も生まれます。バイオマスセンターは、校舎を活用して地域交流拠点のカフェやシェアオフィス、食品加工場も併設しています。
このような取り組みを政府と市民と地域社会が一緒になって全国展開すれば、「自然エネルギー立国」は実現可能です。技術的に難しいことはありません。「原子力立国」より「自然エネルギー立国」の方がよほど現実的な政策です。「原発ゼロは非現実的」というのは昔話です。