昨日(5月21日)の野党共同会派のコロナ対策会議で私は「2次補正予算にインフルエンザの予防接種の無償化を盛り込むべき」と提案しました。
この提案は、現場の声を聞いたわけでもなく、ランセット(Lancet:世界的に有名な医学の学術誌)の論文で読んだわけでもなく、単なる私の思いつきです。しかし、以下の理由で有効ではないかと思っています。
官民の努力の結果もあり、また高温多湿の夏場は新型コロナウイルスの感染が広がりにくいため、コロナも夏ごろには収束すると思います。しかし、寒くなって乾燥してくると、再び冬にコロナ感染の第2波がやってくることが懸念されます。
コロナのワクチンは未開発であり、治療法も試行錯誤が続いています。コロナの第2波が襲ってきたときに医療体制を崩壊させないためには、コロナ以外の病気にふり向ける医療資源の最小化が重要です。コロナ対策に医療資源を集中するには、他の感染症を抑制する必要があります。
冬になれば毎年のように季節性インフルエンザが流行します。コロナの感染拡大と季節性インフルエンザが同時に流行すると、医療崩壊の可能性が高くなります。インフルエンザに関してはすでにワクチンがあり、予防接種を受ける人が増えれば、流行を抑えることが可能です。インフルエンザ抑制に全力をあげることが、コロナ対策に役立ちます。
ふだんでもインフルエンザの予防接種は経済的に割に合います。予防接種にかかるコストと、それによって避けられる経済的ロスを比較すれば、十分に正当化されます。
ましてコロナ危機の現在、インフルエンザの治療に余計な医療資源を取られないように、予防接種の接種率を高めることは有効だと思います。
インフルエンザの予防接種は、任意なので値段が地域や病院によって異なります。たとえば、福岡市の病院でインフルエンザの予防接種を受けると3000~4000円かかります。その約3000円と病院に行く手間を考えると、予防接種を躊躇してしまう人が多いと思います。手間の方は仕方ありませんが、約3000円の方は公的助成でゼロにできます。
仮に1億人がインフルエンザの予防接種を受けたとしても約3000億円です。コロナとインフルエンザの同時流行という悪夢を避けるための「投資」だと考えれば、2次補正で3000億円というのは十分に妥当な支出だと思います。
厚生労働省のホームぺージによると、日本ではインフルエンザの直接・間接の影響で毎年1万人の死者が出ていると推計されます。インフルエンザの感染者は年間1000万人と推計されています。それだけの被害が出ているインフルエンザの予防接種に税金を投入することは十分合理的です。新型コロナウイルスの流行とは無関係にインフルエンザの予防接種の普及を図るべきです。
まもなく審議される2次補正予算で「インフルエンザ予防接種の無償化」は有効な施策だと思います。医療専門家の助言も得ず、医療現場の声を聞かず、医学系学術誌を読まず、実証データに基づかず、文系の素人が単に論理的推論だけで考えた政策提言ですが、いかがでしょうか?