朝の駅頭活動やポスティングでお配りしている国政レポート第52号の転載です。まだお読みでない方、および、福岡3区在住者以外の方は、ご一読いただければ幸いです。
「政権選択」で何を選択するのか?
「政権選択の機会」とよく言いますが、いったい何を選ぶのでしょうか? 党首の人気で選ぶものでもないし、単なる印象で選ぶものでもないと思います。いくつかの主要な争点で選ぶのがふつうの感覚だと思います。立憲民主党がめざす政策の方向性をご説明させていただきます。
1.原子力立国 or 自然エネルギー立国
自民党政権は2006年に「原子力立国計画」を定めて原子力発電を推進してきました。「原発ゼロ」が持論だった河野太郎氏も党内の大勢に逆らえず、総裁選に臨んで原発ゼロの持論を封印しました。自民党内の大多数は原発推進派です。しかし、福島第一原発、チェルノブイリ、スリーマイルと人類は大きな原発事故を3回経験しています。原発が安全でないのは明らかです。
さらに経済産業省は「原発は安い」と説明してきましたが、福島第一原発事故後の安全基準の厳格化によるコスト増もあり、原発は割高になっています。米国の政府機関によると米国ではすでに自然エネルギー(太陽光発電と風力発電)のコストは原子力発電の半分以下だそうです。経産省は脱炭素化を進めるために原発が必要だと主張しています。しかし、国際エネルギー機関は「原発は、他の発電方法と比較して、地球温暖化対策としてのコストが高く、その割に雇用創出効果は小さい」と報告しています。原発を推進すべき合理的根拠はもはやありません。
立憲民主党は「自然エネルギー立国」をめざします。世界では、太陽光発電は10年間で27倍、風力発電は10年間で4倍に増加しました。普及すればするほど量産効果でコストが下がります。太陽光パネルの国際価格は2010年から2019年にかけて10分の1になりました。風力発電のコストは10年間で3分の1になりました。日本も自然エネルギーの普及に力を入れて、脱炭素化と脱原発を両立させる必要があります。自然エネルギーは温室効果ガスの削減だけでなく、地域経済の活性化や雇用の創出、化石燃料の輸入代金の節約につながり、経済成長に貢献します。
2.これまでの「子育て罰」社会 or 子どもにやさしい社会
近ごろ「子育て罰」という言葉を耳にします。保護者への公的支援が少なく、子育ての経済的な負担が重いため、子どもを育てることで罰を受けているように感じることを意味します。雇用や昇進においても女性差別が残り、女性が子どもを育てながら働くのは厳しい状況です。子育て世帯への所得再分配も不十分です。ひとり親世帯の貧困率が先進国で一番高いのも再分配政策の失敗の結果です。子どもの貧困は放置されてきました。「子育て罰」社会をつくってきたのは、これまでの「小さな政府」路線であり、自助や自己責任を強調して再分配政策をおろそかにしてきた自民党政治です。今さら「こども庁」構想という組織いじりでお茶を濁しても遅いです。
立憲民主党は「子育て罰」を解消し、子どもと保護者にやさしい社会、子育てを楽しめる社会をめざします。政府の公教育や子育て支援の支出が、先進国でもっとも少ない現状を変えます。たとえば、小中学校の学校給食の無償化や大学授業料の大幅な低減を実現し、子育て世帯の経済的負担を軽減します。保育所や学童保育のサービスを充実するとともに、そこで働く人たちの処遇を改善し、子どもにやさしい社会、子育てしやすい社会をつくります。
3.小さな政府 or 機能する政府
この二十年ほど自民党政権は新自由主義的な政策を進めてきました。いわゆる「小さな政府」路線です。「小さな政府」のかけ声のもと行政サービスを縮小し、社会保障費や公教育費を抑制してきました。例えば、保健所は約4割も削減され感染症への対応能力が弱体化しましたが、それも「小さな政府」の弊害です。しかも「小さな政府」路線でも財政赤字は増える一方です。
立憲民主党は「小さな政府」から「機能する政府」へ転換します。国民の命と暮らしを守る行政サービスを充実し、医療や介護の不安を解消します。税や社会保障の所得再分配機能を強化して、貧困や格差を生まない制度をつくり、誰一人取り残さない「支え合う社会」をめざします。感染症や災害のときにも「機能する政府」をめざし、「危機管理・防災局」を設置して指揮命令系統を一元化するとともに、危機管理の専従職員を増強して平時から有事即応体制を強化します。
4.大企業経営者のための政治 VS 働く者のための政治
大企業経営者の利益を代表する経団連は、法人税減税、労働規制の緩和を政府に求め、自民党政権はそれに沿った政策を実現してきました。安倍政権では法人税を大幅に引き下げ、租税特別措置も含めると大企業の減税はかなりの金額に上ります。労働規制緩和により非正規雇用が増えて4割近くになりました。非正規雇用の増加は、実質賃金の低下を招きました。いまや日本の最低賃金は、先進国でもっとも低い水準です。年収200万円以下の労働者は1000万人を超えました。働く者にとって厳しい環境をつくってきたのは、これまでの自民党政治です。
立憲民主党は働く者の政党です。労働者の権利を守り、賃金の底上げをめざします。福岡県の最低賃金は870円ですが、それではフルタイムで働いても年収200万円には届きません。せめて最低賃金は1200円は必要です。最低賃金引き上げの影響を受ける中小零細企業を支援しつつ、段階的に最低賃金1500円まで引き上げます。それにより「ワーキングプア」を解消できます。また非正規雇用の正規化をはかり、若い世代が安定した雇用に就けるよう後押しします。いわゆる「ブラック企業」や「ブラックバイト」をなくすため、労働基準監督署の権限と人員を強化し、労働者の権利を守る体制を強化します。すべての人が尊厳をもって働ける環境をつくります。