国連本部のICANイベントの招待状

思いがけず、意外なところから、意外なイベントの招待状が届きました。スイスのジュネーブに本部があり、日本にも支部がある国際NGOのICAN(International Campaign to Abolish Nuclear Weapons)から国連本部で4月30日に開催されるイベントにスピーカーとして参加しないか、というお誘いがありました。

ICANは2017年にノーベル平和賞受賞を受賞したNGOで、核廃絶に向けた運動に取り組んでいます。今年は5年に1度の核不拡散条約(NPT)の再検討会議が、ニューヨークの国連本部で開かれます。それに関連したイベントしてICANが主催するものです。招待状の一部を抜き出すとこんな感じです。

The side event will feature a moderated conversation among current members of parliament from several “nuclear umbrella” countries, and is scheduled for 30 April 2020, 3:00pm – 4:30pm at the UN.

趣旨は「核の傘(nuclear umbrella)」の下にある数か国の国会議員による対話を行いたいので、米国の同盟国である日本の国会議員として参加してほしい、ということです。

先週金曜日(3月6日)衆議院外務委員会で核兵器禁止条約について外務大臣と外務省に対し質問しました。その時の質問の概要は次の3点です。

Q1.日本が核兵器禁止条約に加入できないのは、「法的な理由」なのか、それとも「政治的(外交的)な理由」なのか?

政府答弁:国内法的には問題ない。政治的(安全保障上の)理由である。

Q2.米国と同盟関係にある国(NATO加盟国や豪州)では、米国と同盟関係を維持しつつ核兵器禁止条約に加入することの是非について議論が行われている。日本も検討すべきではないか?

政府答弁:不可。

Q3.核兵器禁止条約に加入しないにしても、締結国会合にはオブザーバーとして参加できる。外務省はいつも「核核保有国と非核保有国のかけ橋になる」と言っている。そのためにもオブザーバー参加すべきではないか?

政府答弁:現段階では検討していない。

ICAN日本支部のアドバイスを受けながら質問を考え、外務省にぶつけました。そんな経緯もあってICAN日本支部がICAN本部に推薦して下さったようです。こんな名誉な招待は滅多にありません。とてもうれしかったのですが、いくつもハードルがあります。

第1に、国会会期中の海外渡航は、すべて国会承認が必要になります。衆議院に承認願いを提出する前に、党内の国対に根回しし、さらに他の政党の議院運営委員会理事に根回しする必要があります。これは超えられないハードルではありませんが、やはりハードルはハードルです。

第2に、渡航費は自腹になり、それなりの出費になります。これも超えられないハードルではありませんが、いくぶん気にかかります。

第3に、今年は解散総選挙が予想され、一日でも多く地元活動に時間をさく必要があり、数日のロスでもロスはロスです。

第4に、4月29日は地元福岡でメーデーです。立憲民主党県連代表としてメーデーへの参加は基本的に必須です。これはかなり高いハードルです。説明すれば関係者はわかって下さると思いますが、一般の人は説明をきかないと理解してもらえないでしょう。事情を知らない一般参加者は「立憲の県連代表の山内はなんでこんな重要イベントを欠席してるんだ?」と疑問に思うことでしょう。

第5に、私は核拡散防止条約や核兵器禁止条約についてさほど詳しくありません。勉強しているところですが、これまで継続的に勉強してきたわけではないので、専門家とはほど遠いです。ODA政策とか、教育援助とかであれば、ある程度の自信を持って話せるのですが、核軍縮は私の得意分野ではありません。にわか勉強で国連本部イベントに参加し、専門用語が飛び交うディスカッションに参加するのは相当高いハードルです。図々しさに欠ける自分には、きびしい試練です。

第6に、言語のカベがあります。単に英語でスピーチするだけなら、事前に時間をかけて原稿を準備し、ネイティブスピーカーにチェックしてもらって、原稿を読めば何とかなるかもしれません。しかし、臨機応変の対応が求められるディスカッションを、不得意なフィールドで、不得意な英語でやるのは、かなりのハードルです。

以上のようにできない理由を並べ上げ、欠席を決めました。そして、さびしい気持ちで、ご辞退メールをICANあてに送信しました。とても残念です。

次の選挙で当選したら、英語の勉強をきちんとして、核軍縮の勉強もやって、再度チャレンジしたいものです。あるいは枝野内閣の外務大臣になって、堂々と日本語でスピーチして、外務省のプロの通訳にきちんと通訳してもらいます。どっちが楽で現実的かと問われれば、おそらく後者でしょう。政権交代を実現し、日本政府を代表して参加できるようにがんばります。