トランプ大統領にノーベル平和賞?

安倍総理がノーベル平和賞選考機関にトランプ大統領を推薦したとの報道がありました。このニュースを見て怒りを覚えました。事実だとすれば、驚くべき事件です。ブラックジョークにしか思えません。

この報道が事実だと仮定すれば、安倍総理のトランプ大統領への媚びへつらいは度を越しています。日本国の首相が、トランプ大統領をノーベル平和賞に推薦するなんて、国民のひとりとして恥ずかしいです。

第一に、安倍総理が「トランプ大統領はノーベル平和賞を受賞するにふさわしい」と本気で思っているなら、判断力に問題があります。総理としての資質を問われます。

人種差別的な発言、女性差別的な言動で、アメリカ社会の亀裂を深め、世界を不安定化させているトランプ大統領が、「平和」に貢献しているとは思えません。朝鮮半島の非核化に関しては貢献しつつあるのかもしれませんが、まだ判断は早いように思います。

第二に、ノーベル平和賞にふさわしいとは思っていないけれど、単におもねるために推薦したのなら不誠実です。ノーベル平和賞をバカにしていることになります。政治家としての真摯さに欠けます。

第三に、推薦の理由として「米朝首脳会談をきっかけに上空を飛来するミサイルへの懸念が消え去り、安心感を得るようになったからだ」と指摘したと報道されています。

安倍総理が「北朝鮮のミサイルの脅威が消えた」と本気で思っているのであれば、イージス・アショアの導入は無意味です。税金のムダ遣いだから即刻やめるべきです。予算案からイージス・アショアの部分を取り除くべきです。

安倍総理には、ぜひ国民の前でも「北朝鮮のミサイルの脅威が消えた」と宣言してほしいものです。賛否両論の反応があることでしょう。私は現段階では「北朝鮮のミサイルの脅威が消えた」とまでは言い切れないと思います。危険性を過大評価するのも過小評価するのも問題です。

第四に、安倍総理は「日本を代表し、謹んであなたをノーベル平和賞に推薦する」とトランプ大統領に伝えたそうです。しかし、この件で「日本を代表」してほしくないものです。おそらく国民の多くは、トランプ大統領がノーベル平和賞に値すると思っていないと思います。民意を代表していないと思われる件で、勝手に「日本を代表」してもらいたくないものです。

第五に、もし朝鮮半島の完全かつ不可逆的な非核化が実現した後だったら、トランプ大統領をノーベル平和賞受賞者に推薦することもあり得るかもしれません。しかし、今の段階では朝鮮半島の非核化は確実ではありません。判断するには時期尚早です。

この報道が事実だと仮定すれば、安倍総理の媚米外交にあきれます。トランプ大統領への忠誠心の強さを世界に示せたと思います。ご立派です。