南スーダン武器禁輸決議を邪魔する日本

安倍外交の迷走が続いています。日本政府は、南スーダンへの武器禁輸に関する国連安全保障理事会決議の足を引っ張っています。しばしば「米国追随外交」と揶揄されますが、米国の国連大使に非難されるほど、毅然とした態度で足を引っ張っています。その背景にあるのは、南スーダンに派遣中の自衛隊です。

南スーダンには以前から自衛隊がPKO部隊として派遣されています。先月(201611月)南スーダンのPKO部隊に「駆けつけ警護」任務を付与することが閣議で決定しました。

南スーダンでは武力衝突が続いており、安倍総理は「戦闘行為ではない」といいますが、自衛隊員の皆さんが危険にさらされています。「駆けつけ警護」を行えば、紛争の当事者になる可能性もあります。「武器禁輸に賛成すると、南スーダン政府や反政府勢力を怒らせるかもしれない」というのが日本政府の懸念です。

ちなみに、国連職員やNGO職員を守る「駆けつけ警護」という建前ですが、日本のNGOの多くは自衛隊の「駆けつけ警護」に反対です。

国連安保理の南スーダン制裁決議案に日本は後ろ向きである問題のポイントを箇条書きすると次の通りです。

①     平和維持のために自衛隊をPKO部隊として派遣した結果、

②     南スーダン政府が自衛隊のPKO部隊を敵視することを恐れて、

③     国連安保理の武器禁輸決議に賛成しにくくなってしまい、

④     武器禁輸決議が日本の反対で葬り去られる可能性があり、

⑤     米国の国連大使が日本政府に対して怒っている

日本政府は自衛隊を人質にとられたかのような行動をとっています。日本政府は、そこまで自衛隊がひ弱な存在だと認識しているのでしょうか。だとすれば、自衛隊を南スーダンに派遣しなければよかったと思います。

米国のパワー国連大使は「国連平和維持活動(PKO)部隊を守る手段である武器禁輸を支持しないという論理は、非常に疑問だ」と述べ、日本政府への不満を表明しました。米国が常に正しいわけではありません。しかし、南スーダンへの武器禁輸問題に関しては、日本政府より米国の国連大使の方が正論だと思います。

南スーダンまで自衛隊を派遣したのは、平和のためだと思います。国連安保理の武器禁輸決議の足を引っ張るくらいなら、自衛隊を呼び戻した方がよいと思います。

安倍外交の迷走が止まりません。自衛隊員の生命を危険にさらし、国連安保理の武器禁輸決議の足を引っ張って米国の怒りをかい、何のためのPKO派遣なのかわかりません。安倍総理本人の「外交が得意」という勘違いを、誰かが正してあげた方がよいと思います。