安倍総理が核先制不使用に反対

今朝(8月17日)の西日本新聞の一面トップの見出しは『核先制不使用 首相「反対」』でした。オバマ大統領が検討している核先制不使用政策に対して、安倍総理が「北朝鮮に対する抑止力が弱体化する」という理由で反対の意向を伝えたと報じています。

安倍総理は「核兵器のない世界を実現することが今を生きる私たちの責任」と述べたこともありますし、日本政府の立場としても核廃絶をめざしてきたはずです。それなのに日本政府のトップの安倍総理が、核先制不使用に反対するのはおかしいと思います。せっかくオバマ大統領が英断を下そうとしているときに、日本政府が足を引っ張るのは悲しいことです。

政治の世界でも「本音と建て前」の使い分けはある程度必要だと思いますが、ここまでいくと「本音と建て前」というレベルではなく、単なる嘘つきだと思います。

世界最強の米軍に通常戦力で対抗できる国はありません。世界の軍事費の半分をアメリカ軍が使っている現状で、アメリカの仮想敵国が通常戦力で対抗できる可能性はほとんどありません。サイバー戦とか、テロとか、特殊な方法でアメリカ軍を悩ませることはできるかもしれませんが、アメリカ軍を圧倒できるとは思いません。

アメリカ軍に通常戦力で対抗できる国が出てくるには、少なく見積もっても20~30年はかかると思います。たとえば、もうすぐ自衛隊が導入する最新鋭の戦闘機F35でも15年くらい前に実験機ができて2070年代まで現役で飛び続ける計画だそうです。いまの自衛隊の主力の戦闘機のF15Jでも1960年代に試作が始まり、40年以上も前に開発されたものです。軍事力の強化にはとても長い時間がかかります。

通常戦力でアメリカに追いつく国が出てくるとしても、それは30年以上も先の話になると思います。アメリカの科学技術力や経済力を考えると、アメリカ軍に対抗できる国が50年以内に出てくるとは思えません。

おそらく仮にアメリカが核先制不使用を宣言したとしても、これから少なくとも30年くらいはアメリカ軍の通常兵器だけで十分な抑止力になると思います。

日本はオバマ大統領の核先制不使用政策を支持すべきだと思います。それによって抑止力が低下するとは思いません。安倍政権の対応は誤りだと思います。