国力を評価する指標には、経済力、人口、地勢(地形、可耕地)、資源(エネルギー、水、食料生産力)、軍事力、技術力などがあります。その中でも経済力はもっとも重要な指標だと思います。G7の経済力が気になって、GDP世界ランキングを見てみたら、十年くらい前とはぜんぜん世界が変わっている感じがしました。
名目GDP(2022年)の世界ランキングは次の通りです。
1)米国 25.3兆ドル
2)中国 19.9兆ドル
3)日本 4.9兆ドル
4)ドイツ 4.3兆ドル
5)インド 3.5兆ドル
6)英国 3.4兆ドル
7)フランス 2.9兆ドル
8)カナダ 2.2兆ドル
9)イタリア 2.1兆ドル
10)ブラジル 1,8兆ドル
11)ロシア 1.8兆ドル
米国と中国が圧倒的な二大超大国で、日本もなんとか3位に残っています。インドが大国化しているのがわかります。ロシアは11位ですが、名目で見ると米国の20分の1程度の経済力となります。
英仏独伊加のG7諸国も引き続き重要な位置を占めています。しかし、G7から米国を除いた6カ国(日英仏独伊加)のGDPを合計すると19.6兆ドルとなり、米国一国のGDPよりも少ないです。G7の中でも米国の圧倒的な実力がよくわかります。
次に購買力平価(PPP)で見たGDPランキング(2022年)も見てみます。かなり様子が異なって見えます。
1)中国 30.2兆ドル
2)米国 25.5兆ドル
3)インド 11.9兆ドル
4)日本 6.2兆ドル
5)ドイツ 5.3兆ドル
6)ロシア 4.8兆ドル
7)インドネシア 4.0兆ドル
8)ブラジル 3.8兆ドル
9)英国 3.7兆ドル
10)フランス 3.7兆ドル
購買力平価だと中国はすでに世界一の経済大国です。インドが世界第3位というのも印象的です。中国、米国、インドが世界の三強という感じです。
日本は購買力平価で見るとまだまだ経済力があり、円の為替レートが実力に比べて安いことがよくわかります。購買力平価で見るとロシアの経済力はかなりのものです。インドネシアはすでに世界第7位の経済大国です。
米ソ冷戦のころのソ連のGDPは、米国のGDPの25%程度でした。それに比べると米中の経済力の格差はさほどありません。名目だと米国が大きく、購買力平価だと中国が大きいという程度のちがいしかありません。米国にとってはかつてのソ連よりも中国の方が手ごわい競争相手といえます。
米ソ冷戦時代と現在のちがいのひとつは、インドやブラジル、インドネシアなどの台頭です。米ソ冷戦の時代は、世界第2の経済大国の日本や第3の西ドイツが米国を支え、西側ブロックの経済力は圧倒的でした。しかし、現在の世界では、インドやブラジル、インドネシア、トルコなどの新興国の国力が増し、これらの新興国の動向が国際情勢を左右する度合いがより大きくなりました。