今朝(5月8日)西日本新聞報道によると、新型コロナウイルスのワクチン特許の一時放棄をめぐるWTOの議論で各国の足並みが乱れているそうです。発展途上国へのワクチンの供給拡大につながるとして、米国が容認を表明し、フランスも支持しています。製薬業が強いドイツは反対しています。日本は明確な姿勢を示していません。
米国はバイデン大統領に代わってから態度を変えました。良い変化です。日本も積極的にワクチン特許の一時放棄を支持すべきです。私は今年2月の衆議院予算委員会の分科会で、この件に関して外務大臣に質問する予定でした。
しかし、前日になって急に国会対策委員長代理のTさんから「山内さん、ごめん。分科会の枠が足りなくなって、なるべく新人議員にチャンスをあげたいから、今回は遠慮してもらえませんか?」と頼まれ、泣く泣く質問を取りやめました。
衆議院の事務方の連絡ミスで、わが党の質疑時間の枠が1つ少なくなったとのこと。Tさんは私の後任の国対委員長代理です。国対委員長代理の苦しい立場もわかるし、事務方の職員も困っているので、やむを得ず、質問を取りやめました。そのときの幻の国会質問が以下です。
WTO貿易関連知的財産権協定(TRIPs)に関する南ア・インド提案について
新型コロナウイルス感染症の世界的流行に際して国際的な協力が不可欠である。仮に日本国内の感染が収束したとしても、海外で感染拡大が終わらなければ安心できない。世界全体で集団免疫ができるまで、日本は積極的に国際貢献すべきである。
コロナ対策のワクチンや治療薬に関して平等なアクセスを実現するために日本政府はリーダーシップを発揮してほしい。豊かな先進国がワクチンを独占する一方で、発展途上国の人たちが取り残されるのは道義的に許されない。
2020年10月2日、南アフリカ政府とインド政府は、WTOの貿易関連知的財産権協定(TRIPs)理事会に対し、各国が医薬品、診断薬、有望なワクチン候補など、COVID19に関わる予防や治療に関連する知的財産権、意匠、特許および開示されていない情報の保護の免除を含む提案を行った。南アフリカ・インド提案には、100か国以上の国々が支持もしくは歓迎の意思を表明している。国連合同エイズ計画(UNAIDS)等の国際機関や多くの市民社会団体(NGO)も支持している。
しかし、米国や欧州連合、日本は反対している。南アフリカ・インド提案を支持してほしい。せめて反対しないでほしい。公平なアクセスのために、知的財産権の一時停止がむずかしいのであれば、国際社会が協力して開発者に資金提供するといった代替案を検討してもよいし、そのときに日本がリーダーシップを発揮してほしい。
今年2月の段階では米国も欧州連合も消極的でしたが、その後、状況がよい方向に変化しました。特にバイデン政権の米国の姿勢の変化は大きなインパクトがあります。日本も良い方向に態度を変えるべきです。菅総理の決断次第です。人道的観点から適切な判断を求めます。