衆院選公約の柱:社会保障とエネルギー

次の衆議院選挙の立憲民主党の公約の柱は、社会保障とエネルギー政策だと思っています。コロナ危機では社会的セーフティネットの脆弱性が明らかになりました。セーフティーネットを強化し、医療や介護、障がい者福祉、保育などのサービス(現物給付)を充実させる必要があります。

最近、枝野代表がよく使う言葉の「ベーシック・サービス」とは、医療や介護、障がい者福祉、保育などのサービスを指します。所得に関係なく、すべての人が質の高いベーシック・サービスにアクセスできるべきだと思います。所得格差や資産格差が、医療格差や介護格差につながらない仕組みが大切です。

再分配政策にあたっても、お金を配ること(現金給付)だけではなく、医療や介護などのサービス(現物給付)を重視する必要があります。いちばん困ったとき(病気、要介護など)に無料(または低価格)でサービスを受けられることがわかっていれば、「老後は2000万円貯金がないと不安」とはなりにくいでしょう。

コロナ危機対策でも「とりあえず全員に〇〇万円配る」的な現金給付は、非常時に一時的に実施するのはよいのですが、それを恒常化させようとすれば莫大な財源が必要です。コロナ禍でも給与が下がっていない業種やむしろ好調な企業もあるでしょう。そういった差異を無視して、現金を一律に給付し続けるのは非効率であり、借金を増やすばかりです。

ベーシック・サービスの充実により、病気や事故をきっかけに貧困におちいる世帯をなくし、格差拡大を防ぐことができます。必要に応じて受ける現物給付サービスであれば、必要のない人にまで現金を給付するより効率的です。そういったベーシック・サービスの充実を軸とした社会保障制度の改革が求められます。

といったことを申し述べてきたのは、新党で発足する「社会保障制度調査会」の事務局長に私が就任することになったからです。社会保障は重要です。それを担当する調査会の事務局長も重要な役職です(自画自賛ですが)。がんばります。

もうひとつの衆院選公約の柱になるのは、エネルギー政策だと思います。枝野代表はこのごろ「自然エネルギー立国」という言葉を使い、自然エネルギーの推進を強調しています。正しい方向性だと思います。

気候変動(地球温暖化)は確実に進んでいます。台風や豪雨の被害が激甚化し、福岡県でも「50年に1度の水害」が毎年のように起きています。欧米では「気候緊急事態」という言葉が使われるようになりました。気候変動の影響は既に大きいですが、さらなる温暖化を防ぐためにすぐに効果的な対策を打つべきです。

これまで先進国のなかで日本とトランプ大統領の米国だけが、気候変動対策に後ろ向きでした。自然エネルギーよりも原子力発電や石炭火力発電を重視してきた安倍政権のせいで、日本は「化石賞」をたびたび受賞しています。

まもなくトランプ政権が終わり、バイデン政権が誕生するでしょう。バイデン候補は大統領就任の1日目にパリ協定に復帰すると宣言しています。米国が気候変動対策に前向きになれば、日本は孤立します。そうさせないためにも、自然エネルギーへのシフトを急ぐ必要があります。

菅総理も2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロをめざす方針と報道されています。安倍政権を継承する菅政権がどこまで本気なのか不明です。また、CO2排出が少ないという理由で原子力発電を推進する腹かもしれないので要注意です。自然エネルギー政策も次の総選挙の争点にしなくてはなりません。

なお、私は新党で新たに結成される「エネルギー調査会」の副会長にも指名されました。来週から始まる臨時国会では、社会保障調査会の事務局長、エネルギー調査会の副会長という2つの党のポストを重視してがんばりたいと思います。