いつも安倍政権批判ばかりですが、たまには安倍内閣の大臣の判断を評価したいと思います。梶山弘志経済産業大臣の石炭火力発電所の削減方針、河野太郎防衛大臣のイージス・アショアの配備停止については率直に評価できます。
梶山経産大臣は、二酸化炭素(CO2)排出量の多い非効率な石炭火力発電所の9割を休廃止する方針を発表しました。2030年度までに石炭火力100基程度が休廃止され、石炭火力発電所の輸出の条件も厳格化されます。
さらに風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギー(自然エネルギー)の普及を促す新ルールの検討も表明しました。安倍政権のエネルギー政策が少しまともな方向に向かっていることはよろこびたいと思います。
新聞報道によると、梶山大臣は国際会議に出て石炭火力発電に対する国際社会の厳しい態度を実感し、経産省の事務方が抵抗するなかで、大臣がリーダーシップをとって石炭火力発電所の削減方針を打ち出したそうです。
国際社会の世論、国内の世論が、政府の方針を動かしたといえます。市民団体やマスコミ、野党の批判が世論を動かした結果です。黙っていたら経産省は石炭火力発電所を減らさなかったと思います。民意を踏まえて方針転換した梶山大臣に敬意を表します。
また、石炭火力発電所の削減方針は、経産官僚からすれば看過できない事態だと思います。官邸を牛耳っている経産省出身の官邸官僚からすれば、許せない方針転換だと思います。官邸のグリップが弱くなっていることを象徴しているのかもしれません。安倍一強の終わりが見えてきて、官邸主導が弱まっていることの証左を示しているのかもしれません。
また、河野太郎防衛大臣が打ち出したイージス・アショアの配備停止も正しい判断だったと思います。地元の反対、費用対効果の問題、軍事的有用性に対する疑問など、いろんな問題がありました。河野大臣の英断だったと思います。
イージス・アショア配備は、防衛省からボトムアップで決まった政策ではなく、トランプ大統領のごり押しに負けて官邸主導(NSC主導)で決まった政策だったと思います。
官邸主導で決められた方針が、防衛大臣によって覆されたという点でも、官邸権力の弱体化を象徴する出来事です。官邸の意向を忖度せずに、各府省がそれぞれ独自の判断をするようになってきたのかもしれません。
梶山経産大臣、河野防衛大臣の英断は、官邸主導のたそがれを象徴しているのかもしれません。