河野太郎防衛大臣は昨日(6月16日)の衆議院安全保障委員会で、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備計画の停止を表明し、「地元の皆さまにご迷惑をお掛けしてきた。お詫び申し上げなければならない。」と発言しました。
河野大臣の判断は正しいと思います。地元の反対という要素も大切です。野党も反対してきました。同時に、軍事的合理性のあやしい高価な装備品を米国政府の言いなりに導入しようとした判断がそもそも間違っていたと思います。
自衛隊の制服組はもともとイージス・アショアの導入を望んでいなかったとも言われています。官邸主導(NSC主導)でトランプ大統領に配慮した装備品選定が進み、現場の防衛省に押しつけられたというのが実態ではないかと思います。
非常に高価な割に効果のほどがあやしいのが新型イージス・アショアです。従来型のイージスシステムであれば、ある程度は効果も確認されていますが、日本が導入しようとしていた新型イージス・アショアは効果のほどが不明な上に非常に高価でした。さらに導入にはかなりの時間がかかります。
ロシアや中国が開発している新世代のミサイル(極超音速滑空ミサイル等)は、イージス・アショアでは迎撃できないと言われています。すぐに陳腐化する可能性のある兵器をこれから調達するのは非合理的です。河野防衛大臣の判断は正しいです。
しかし、「なぜこの時期に?」という疑問があります。政局的あるいは国会対策的に見れば、あと少しで国会が閉会するので、国会閉会後に発表すれば、野党から国会で追及されずにすみます。あえてこの時期に発表する意図はわかりません。
防衛省は、官邸の言いなりにイージス・アショア導入を進めてきましたが、軍事的合理性の欠如や地元の反対に配慮し、官邸の意向に逆らう決断をしたのかもしれません。
経緯はわかりませんが、先般の「給付金30万円」の取り消しに加えて、また新たに安倍政権の方針撤回が目立つかたちになりました。安倍官邸の求心力に陰りが見えてきたということかもしれません。安倍政治の終わりの終わりが近づいています。