イギリスの保守党の党首であり、新首相のボリス・ジョンソンは「イギリスのトランプ」のような言われ方をしていますが、ちょっと違う気がします。良いか悪いかはわかりませんが、違う気がします。
まずトランプ大統領のようにツイッターしか書かず、おそらく文学や歴史などの教養書や報告書などをきちんと読まないタイプではなさそうです。ボリス・ジョンソン首相には著書もあります。
日本語にも翻訳されている「チャーチル・ファクター」という本がそうです。実は私も3年ほど前に読みました。チャーチルの本はたくさんありますが、それなりにおもしろい本だったという印象があります。
ボリス・ジョンソン首相は、トランプ大統領より知的な教養人です。教養があるのに有権者にアピールするためにあえて粗野な振る舞いをしているのだと思います。ジョンソン首相はロンドン市長や外務大臣の経験もあり、トランプ大統領に比べて政治経験も豊富です。
またエマニュエル・トッドがボリス・ジョンソンのことを「エリートなのに大衆の立場で政治を語る政治家だ」というような言い方で評価していた記事を読んだ記憶があります(出典は忘れましたが)。トッドはイギリスのEU離脱を評価する立場なので、ある意味で自然なことかもしれません。
イギリス労働党はボリス・ジョンソンを「a cold, calculating liar(冷たくて計算高いウソつき)と最大限の罵倒をしています。まあ労働党が保守党の首相を批判するのはいつものことですが、それにしても強烈です。しかし、敵だからこそよく観察していると思います。労働党が「計算高い」と批判している点は的確だと思います。
ボリス・ジョンソン首相がどういう方向へ進むのかは私にはわかりません。しかし、トランプ大統領より常識的な思考ができて、計算ずくのパフォーマンスで無茶なことをやっている可能性はあると思います。
トランプ大統領のウソは病的な感じを受けますが、ボリス・ジョンソン首相のウソは計算だと思います。少なくとも敵側の労働党はそう見ています。
日本との関係でいえば、EU離脱後のイギリスはEU以外の仲間をふやすことを目論むことでしょう。そういう文脈で日英関係は強化されることでしょう。トランプ大統領とジョンソン首相は良好な関係を築きそうな気配があり、それも日英関係に影響を与えるかもしれません。
何となく不気味なイギリスの新首相です。ますますイギリス労働党にがんばってほしくなりました。