安倍政権の6年半をブログでふり返る参院選特別企画の第12弾です。2018年6月22日付ブログ「アベノミクスのウラの『三本の矢』」の再掲です。
アベノミクスの「ウラの3本の矢」
安倍政権のアベノミクスの「3本の矢」といえば、①異次元の金融緩和と円安誘導、②財政出動による公共事業、③規制改革です。
しかし、それ以外にもアベノミクスの「ウラの3本の矢」とでもいえそうな タチの悪い経済政策があります。安倍政権は、経済成長につながるかもしれないけれど、倫理的に問題のある経済政策を推進しています。その代表は、①カジノ解禁、②武器輸出の推進、③原発輸出への政府保証という「ウラの3本の矢」です。
1. カジノ解禁
今年の通常国会の目玉法案のひとつは、いわゆる「カジノ法案(特定複合観光施設区域整備法案)」でした。これまで違法だったカジノを解禁し、観光客の誘致につなげようという政策です。
日本はギャンブル依存症の割合が、先進国で最も高い国です。厚生労働省の調査によれば、病的賭博の推定有病率は、男性で9.6%、女性で1.6%とされており、先進国平均の1.5~2.5%に比べ極めて高い水準です。
そこら中にパチンコ屋があり、ギャンブル依存症の人が世界有数の多さです。その上さらにカジノを解禁するのは危険です。既に日本はギャンブル大国ですが、カジノ解禁でさらにギャンブル経済が拡大します。
2016年のデータを見ると、パチンコの市場規模は約21兆6200億円です。農水省所管の競馬の市場規模が約3兆1400億円(中央競馬:約2兆6700億円、地方競馬:約4700億円)です。農業総算出額が約9兆2000億円であることを考えれば、競馬の市場規模の大きさに驚きます。
ギャンブルで経済成長を図るのは危険です。ギャンブル依存症は自己破産や家庭崩壊を招くことも多く、そんなリスクのあるビジネスを政府が推進するのはいかがなものかと思います。人を不幸にしてまで経済成長を追い求めるべきではありません。
2. 原発輸出の推進
安倍政権は玄海原発をはじめ原発再稼働に前のめりですが、原発輸出にも熱心です。安倍総理の最側近の今井首席秘書官は、経産省で原発輸出を担当してきた「ミスター原発」のような人物です。経産官僚にべったりの安倍総理は、官邸主導で原発輸出を強力に進めています。
英国ウィルヴァ原発の総工費は3兆円とされ、そのうち1兆1千億円を日本の国際協力銀行やメガバンクが融資し、政府が貿易保険を適用して保証します。原発事業はハイリスクですが、失敗したときに日本政府が保証するということは、すなわち損失が出れば国民負担となる可能性があるということです。
国民の税金で原発輸出の失敗の埋め合わせをするのはいかがなものかと思います。世界では自然エネルギー革命が進み、原発の新増設は激減しつつあります。原発が時代遅れになりつつあるなかで、政府保証を付けて原発輸出を促すのは愚かです。
3.武器輸出の解禁
安倍政権は2014年に武器輸出三原則に代えて、防衛装備移転三原則を閣議決定し、これにより武器輸出が可能となりました。その直後からオーストラリアへの海上自衛隊の潜水艦(そうりゅう)売り込みを図りました。
結果的に入札で負けましたが、もし実現していれば数兆円規模の商談でした。経済産業省は世界の武器見本市への日本企業の出展を後押しして、潜水艦のほか飛行艇などを売り込んでいます。
日本が「死の商人」として国際社会に打って出ることは、日本の平和国家としてのイメージを損ないます。日本製の兵器が非人道的な戦闘行為に使用されれば、倫理的・道義的責任を問われます。武器輸出で稼ごうという発想は、長い目で見れば国益に反します。
以上のアベノミクスの「ウラの3本の矢」というのは「金儲けになれば何でもあり」という卑しい発想です。とても「美しい国」がやることではありません。カジノ、原発輸出、武器輸出というダーティーな経済政策を阻止するため、国会でがんばっています。