通常国会で予算案の審議が始まります。それに先立って、国会対策委員会と政務調査会の共催で「予算・法案ヒアリング」というのを開きました。すべての省庁の官房長や担当審議官を呼び、予算案と法案の概要を聴き、不明な点は質問します。ちなみにそのヒアリングの司会進行役は、政調会長代理の私の仕事です。
予算の説明を聞いていると、ユニークな表現に出会うこともあります。たとえば、宮内庁の予算の説明を聞いていると、ふだんは使わない言い回しが多く気になります。また、今年は新天皇のご即位などもあり、例年はない支出もあります。
宮内庁の予算書概要には「皇位継承関係経費」という珍しい経費が出てきて、その中に「お住まい関係」とか「お支え関係」とか、ユニークな用語が出てきます。ふつうの官庁用語だと「住居関係費」とか「維持管理費」とか言うのかもしませんが、皇室関係だと「お住まい」とか「お支え」とか、ふだん耳にしない敬語で書かれていてなんかユーモラスです。漢字ばかりの役所用語のなかに「お住まい」とか「お支え」とか和語が入っているのが、なんか「宮内庁っぽい」感じです。みやびな予算科目ですね。
宮内庁の歳出削減努力をまとめた「主な節減事項」という項目があります。具体的にはこんな感じです。
主要三殿屋根材を萱葺から板葺へ変更
皮付き丸太は主要三殿等に限定
雨儀廊下(供奉員使用)の長さ縮小
昭和から平成に変わる時の儀式よりコストカットに努力した項目のようです。しかし、これだけ読んでもサッパリわかりません。何となく優雅な建築物です。予算に余裕があれば、節約せずに建設し、多くの国民に見てもらうようにするのも手かもしれません。しかし、予算が厳しき折、宮内庁も努力しているようです。
そういえば、10年以上前に初めて宮内庁の予算書を見たとき、皇室費が予想よりずっと少なくて驚いた覚えがあります。皇室の皆さまは、多くの人が思っているよりも、ずっと簡素(質素?)なお暮しを送られているようにお見受けします。
おそらく日本の皇族は、アラブの石油王とかとは全然ちがいます。私が留学していたロンドン大学には、「ブルネイ・ギャラリー(Brunei Gallery)」という博物館みたいなものがあり、産油国ブルネイの王族が留学した記念に寄付したと聞いた覚えがあります。日本の皇族方も英国に留学しますが、そういう派手なことはなさらないと思います。おくゆかしくて日本らしいと思います。
その他に気になる予算項目は、消費税増税時のプレミアム商品券の事業費でした。プレミアム商品券やポイント還元などの消費増税対策で、役所の事務費や業者に落ちるお金が多いのに驚きました。国民に直接還元されるお金ならまだ許せますが、そのプレミアム商品券やポイント還元にかかる事業費(事務費)が予想以上に高くつくのを見て、あらためて「天下の愚策」だと確信しました。軽減税率は、非効率で、不公平で、税金のムダづかいです。
また30年度の補正予算でどさくさ紛れに、戦闘機(F-35)や哨戒機(P-1)、輸送機(C-2)等を3,177億円も調達するようです。こういう装備品は本予算で対応すべきもので、どさくさ紛れの補正予算で整備するものではないと思います。いま私は小学校の学校給食無償化をできないかと思って調べていますが、3200億円あれば全国の公立小学校の給食費を1年間無償にできます。どさくさ紛れに兵器の爆買いをするよりも、学校給食の無償化を検討した方がよいと思います。
しかも、米国製F-35みたいな高価な戦闘機ばかりそろえるのは軍事的にも問題があるように思います。アメリカ国防総省の国防授権法に関わる小論文を読んでいたら、米軍は第5世代の最新鋭機F-35ばかりを調達しているわけではありません。一世代前(第4.5世代とも呼ばれます)の戦闘機だけれども、だいぶ安いFA-18スーパーホーネット(7000万ドル)も同時に調達しています。
日本の自衛隊は、高価なF-35ばかり買っていますが、米軍はそうではありません。アメリカの言いなりに高価な最新鋭機をそろえるよりも、アメリカをみならってコスパがよくて信頼性の高いFA-18スーパーホーネットのような機体も並行してそろえれば、より少ない防衛予算で効果的な防衛力を整備できるかもしれません。防衛予算の使い方としても問題があると思います。
以上、予算案の説明を聞きながら思った雑感でした。引き続き予算案の内容を研究したいと思います。なるべく早く安倍政権を倒して、予算案を作る側(=政府側)になりたいものです。