先日(11月30日)の日本経済新聞朝刊に「『なんでも内閣委』続く渋滞:法案審議 先送り」というやや大きめの記事が載りました。同記事によると;
内閣官房や内閣府の肥大化に伴い、法案が集中する衆参両院の内閣委員会。臨時国会でも法案が山積し、12月10日までの会期内の成立が危ぶまれるものも目立つ。
けっこう長い記事ですが、その通りです。「なんでも内閣委」になって法案審議が厳しいのは事実です。しかし、野党(特に野党筆頭理事の私)がサボっていて、法案審議が先送りになっているわけではありません。
そもそも内閣官房や内閣府に権限が集中し、なんでも官邸主導で法案をつくるから、内閣委員会が忙しくなるのです。衆議院の内閣委員会の責任ではありません。政府(特にいまの安倍政権)の責任です。
内閣委員会の所管に関わる大臣は9人もいます。話題の片山さつき大臣も桜田義孝大臣もそうです。菅義偉官房長官もそうです。こんなに大勢の大臣が所管する事項を内閣委員会が対応しなくてはいけないのが、「法案審議 先送り」の原因です。
どこかの新聞記事で元官房副長官(事務)が「官邸に権限を集中させ過ぎだ」とおっしゃっていました。まったくその通りです。安倍総理が官邸に権限を集める傾向を揶揄して「なんでも官邸団」という言葉もかつてありました。その結果が「なんでも内閣委」です。
内閣委員会の野党側責任者(野党筆頭理事)の私としても「なんでも内閣委」は勘弁してほしいです。落ち着いた審議ができるように、他の委員会にも法案を割りふるように工夫しなくてはいけません。その点では与党(自民党)の筆頭理事とも意見が一致しています。
日経新聞の同記事はさらに続けて次のように記述します。
内閣委に法案が集中したため、洋上風力発電の普及に向けて基本的ルールを定めた海洋再生エネルギー発電利用促進法案は所管委員会を当初予定していた内閣委から比較的日程に余裕のある国土交通委員会に変え、30日に成立する見込みだ。
新聞記者はサラっと書きますが、自然にそうなったわけではありません。水面下で「いろんな人」が努力した結果として、洋上風力発電法案が内閣委員会から国土交通委員会に所管が変わりました。「いろんな人」の中に私も含まれます。
再生可能エネルギーを推進する立憲民主党としては、本法案を早く成立させたかったという事情があります。「野党は批判ばかり」と批判されますが、わが党は内閣提出法案でも必要な法案にはいつも賛成してします。必要な法案であれば、審議加速にも進んで協力してきました。
洋上風力発電法案が内閣委員会に付託されると、日程が厳しくて今国会の成立がむずかしくなります。今国会の成立をめざすには、日程の余裕のある国土交通委員会に付託する必要がありました。
私は「自分が担当する内閣委員会に法案が付託されないようにする」という目的のための地味な根回しを行い、見事に成し遂げました。しかし、「自分の委員会に法案を付託させない」という水面下の作業の成果は、自分で説明しない限り、だれも気づいてくれません。華々しさに徹底的に欠ける仕事でした。「人知らずしてうらみず、また君子ならずや」と愚痴りつつ、ここで喧伝しておきます。
ちなみに、衆議院には17の常任委員会がありますが、国会法41条の条文のなかで一番初めに出てくるのは内閣委員会です。議院運営委員会や予算委員会と並んでもっとも重要な委員会のひとつが内閣委員会です。もっとも法案数が多いのが内閣委員会なので、もっとも忙しい委員会のひとつです。国対委員長代理を解かれてホッとする間もなく、内閣委員会の筆頭理事に任命され、今国会も忙しくしていました。