ファシズムの14の特徴

知り合いの大学の先生が、米国の「ホロコースト記念館」に展示されている政治学者のローレンス・ブリットの言葉を翻訳されていて、興味深かったので転記させていただきます。

ファシズムの14の特徴

1)強大で執拗な国家主義の宣伝

2)人権の重要性の蔑視

3)団結のための敵/スケープゴートづくり

4)軍隊の優位性/熱烈な軍国主義

5)性差別の蔓延

6)マスメディアの統制

7)国家の治安への執着

8)宗教と支配層エリートの癒着

9)企業権力の保護

10)労働者の力の抑圧もしくは排除

11)知性と芸術の軽視と抑圧

12)犯罪取り締まりと刑罰への執着

13)縁故主義と汚職の蔓延

14)不正選挙

このなかで今の日本にあてはまらないのはどれでしょうか?

私は2つしか思いつきませんでした。具体的には、「8)宗教と支配層エリートの癒着」は、宗教心の薄い現代日本社会ではあまりあてはまらないでしょう。それに「14)不正選挙」というのも、おそらく無いと思います。残りの12の特徴については、具体例がいくつも思いあたります。

もっとも先進的で民主的とされたワイマール憲法のもとでナチスが生まれたことを考えれば、戦後の平和憲法のもとで日本に戦前回帰型の軍国主義が生まれない保証はありません。特にいまの首相は「戦後レジームからの脱却」を叫ぶ人です。近年のトランプ現象や欧州での極右勢力の台頭を見るにつけ、軍国主義や全体主義への警戒心を緩めないことが大切だと思います。

街の書店では、程度の低い(=事実にもとづかない)ヘイト本が山積みになり、中国人や韓国人、在日外国人への憎悪をあおっています。同じ日本人なのに、沖縄県民や辺野古移設反対運動を行っている人たちへのヘイト言論も続いています。一時期は下火になった印象のあった部落差別も、ネットを媒介にして再び広がっている兆候があります。

民主主義や人権は、黙っていても天から降って来るものではなく、努力して勝ち取りそして守っていかなくてはいけないものだと思います。最後にドイツの神学者のマルティン・ニーメラーの言葉をご紹介して本日の結びとさせていただきます。

ナチスが共産主義者を襲ったとき、自分はやや不安になった。けれども結局自分は共産主義者でなかったので、何もしなかった。

それからナチスは社会主義者を攻撃した。自分の不安はやや増大した。けれども自分は依然として社会主義者ではなかった。そこでやはり何もしなかった。

それから学校が、新聞が、ユダヤ人が、というふうに次々と攻撃の手が加わり、そのたびに自分の不安は増したが、なおも何事も行わなかった。

さて、それからナチスは教会を攻撃した。そうして自分はまさに教会の人間であった。そこで自分は何事かをした。しかし、そのときはすでに手遅れだった。