明けましておめでとうございます。昨年1月の最初のブログを読み返してみると「2017年は反転攻勢」という文章でした。2016年は参院選で自民党が圧勝し、トランプ大統領が誕生し、政治的にはひどい1年でした。2017年こそ「反転攻勢」という意気込みで書いたブログでした。
2017年衆院選は、個人的には当選できたので「反転攻勢」の足場ができたといえます。現職議員になると公設秘書も雇えるので、事務所の陣容も強化できます。新年会シーズンの今もいろんな団体に来賓として呼んでいただけるようにもなりました。国会で活動すれば、テレビや新聞のニュースでときどき取り上げていただけるので、よい広報活動になります。そういう意味では次のステップに向けて足場を固めるチャンスを得られたといえます。
しかし、日本の政治全般をみると、小池百合子知事の都民ファーストが都議選で大ブレークしたかと思うと、その数か月には民進党の希望の党への合流劇が野党の分断を招き、安倍一強を続けさせることになりました。野党に対する期待感がしぼみ、さらに野党がバラバラで安倍政権の横暴を許してしまっています。2017年は日本政治にとってはマイナスの年でした。唯一の希望となるのは、立憲民主党の結党であったと思います。
安倍政権が3分の2の議席を維持し、憲法改正が具体的な政治日程になりつつあります。早ければ今年の通常国会の終わり、あるいは今秋の臨時国会あたりで、憲法改正の発議となっても不思議ではありません。憲法改正を使命としてきた安倍総理が、3分の2の議席を維持しながら、憲法改正を発議しなかったらそっちの方が不思議です。
北朝鮮危機、格差の拡大、分断が進む社会、危うい異次元量的緩和リスク等、心配なことはたくさんあります。あえて憲法改正論議に政治的エネルギーを割く必要はないと思います。プライオリティの置き方がちがうと思います。
世界経済は全般に調子よく、外需のおかげもあって日本経済は好調な印象です。株価も上がっています。しかし、日銀や年金基金に株を買わせて株価をつりあげ、異次元緩和でお金がジャブジャブ流れている状況が、バブルでないはずがありません。
トランプ大統領の法人税と高額所得者の所得税減税は、一時的には世界経済に好影響を与えるかもしれませんが、長期的にはさらなる格差拡大とアメリカ社会不安を招くことになるでしょう。社会不安から目を逸らすために、対外的な冒険(北朝鮮攻撃等)へ向かわないか心配なのがトランプ政権です。在イスラエル米国大使館のエルサレム移転問題では、トランプ大統領がいかに勝手で短慮かが改めて可視化されました。トランプ大統領の軍事的冒険に日本は無条件に従うべきではありません。安倍政権のトランプ大統領べったりの外交姿勢が危惧されます。
立憲民主党は、安倍政権が「この道しかない」という傲慢な言い方で政策を押し進めている時に、その道が誤っていた場合の代替案「もうひとつの道」を示していかなくてはなりません。異次元緩和バブルがはじけた場合の対応も、今のうちから考えておく必要があるでしょう。党のシンクタンクをつくり、「もうひとつの道」を用意する作業に参加できたらよいと思っています。
民進党と希望の党が統一会派を組む方向で協議しているそうです。野党再編も、今年の重要な政治テーマになりそうです。統一会派というのは、とても大きな決断です。自民党と公明党は長いこと連立政権を組んでいますが、国会では統一会派ではなく、別々の政党として活動しています。自民党と公明党ほど長い協力関係にあっても、それぞれの政党の独自色を保ち、統一会派には至っていません。
民進党を割って出て最初に希望の党に行った人たち(いわゆる「チャーターメンバー」)は、本当に民進党との統一会派でよいのでしょうか。憲法改正や安保法制といった重要政策についての差異を置き去りにして、統一会派を組めるのか疑問です。
立憲民主党は、もともと民進党所属議員がほとんどでもあり、民進党との統一会派の可能性は必ずしも否定しません。しかし、希望の党との統一会派は不可能だと判断しています。基本政策や理念が異なるという理由で「排除」され、新党をつくらざるを得ない状況に追い込まれたわけです。立憲民主党が、希望の党と統一会派を組むことはあり得ません。
統一会派にならなくても、自公政権に対抗するために協力することは可能です。国会対応では野党連携は日常的に今でもやっています。国対ベースでは野党間の協力関係は一定程度進展しつつあります。
選挙協力にしても、いざ選挙となれば、希望の党や民進党とすみ分け的な選挙協力も可能になるでしょう。あるいは連立政権が常態化している欧州諸国のように、選挙前から「政党ブロック」として選挙用の政策協定を結んで、自公政権に対抗していくという方法も考えられます。複数の政党で政策協定を結ぶうえでは、合意できない部分は「戦略的棚上げ」(外交用語でいえば“agree to disagree”的な発想)を行い、差異よりも共通点にフォーカスし、「安倍政権よりマシな選択肢」としての「政党ブロック」を形成することは十分可能です。
野党の協力や野党再編のあり方はいろいろ考えられますが、数合わせの離合集散は避けた方がよいと思います。政策や理念が一致できれば合流して一つの政党になるのもよいでしょう。そうでない場合は、自公政権を倒すという大目的のために、差異を認めながらもお互いに妥協しながら政策協定を結んで「政党ブロック」として連携すればよいと思います。ムリして一つの政党になろうとして失敗を繰り返してきたのが、最近の日本政治からくみ取るべき教訓です。
また、野党は今の安倍政権から学ぶことがたくさんあります。自民党と公明党はそもそも政策や理念がそれほど一致する政党ではありません。それでも政権維持という大目的のために上手に連携しています。自民党と公明党は連携していますが、一つの政党になる可能性は皆無です。自公は、差異に目を向けるよりも、共通の利害に目を向けて協力しています。野党間の協力も自公の協力から学ぶ必要があります。
安倍政権が良くも悪くも「政治主導」を貫徹している点は見習うべきかもしれません。政策の方向性はまちがっていますが、政策の実行力では見習う点は多々あります。官邸に権力を集中し、省庁間の利害調整も官邸が行い、思い切った政策転換を果たしています。たとえば、安保法制、武器輸出三原則など、まちがった方向だと思いますが、しかし、確実に政策を動かしている点はまちがいありません。目的はまちがっていますが、手法には見習うべき点もあります。情報の隠蔽や「忖度政治」といった点は見習いたくありませんが、幹部公務員の人事権を掌握して官僚を操縦する手腕は見習う必要があります。
いつの日か立憲民主党を中心とする政権を樹立するためには、安倍政権の功罪を冷静に見極め、それに対する代替案を練り上げていく必要があります。今年は立憲民主党の党組織を固め、自分の選挙区を固め、党の政策や政権構想を固める年にしていきたいと思います。また、憲法改正の国民投票が行われるとすれば、誤った方向に憲法が改悪されないように国民的な運動を進めなくてはいけません。今年は政治的に重要な年になりそうです。気を引き締めてがんばります。