前原代表の「合流」判断について「まな板の鯉」が思うこと

今回の前原代表による「希望の党」への「合流」の決定は、政党のガバナンスとして不当です。前原氏を指して「言うだけ番長」という人がいますが、今回は「不言実行」でした。前原氏は、わずか1か月ほど前の代表選で、「民進党解党」を公約に掲げたでしょうか。記憶にありません。もし民進党解党を公約していたら、党員やサポーターの支持が集まったとは思えません。

そもそも前原代表の9月28日の両院議員総会での説明では、民進党の候補者はそろって「希望の党」へ移るということでした。私自身「希望の党」の政策に賛同していたわけでもなく、抵抗感がありました。それでも民進党全体で「希望の党」に移るのであれば、組織人として従わざるを得ないと思っていました。

しかし、いわゆる「リベラル派」を露骨に「選別」して排除するという説明は受けていません。一連のリベラル派排除の動きは、だまし討ちであり、詐欺的行為です。これでは「合流」というより「吸収」です。前原代表は、自らの党をバラバラに解体して仲間を売り、民主党以来20年の伝統のある党を大安売りしました。

また、民進党を先に離党した細野豪志氏が、民進党候補者の「選別」作業を行っているそうです。離党者に民進党候補者の「選別」を委ねるのも、政党ガバナンスの観点から前代未聞の暴挙です。また、「選別」の基準もよくわかりません。

対する「希望の党」のガバナンスも非民主的です。あちらの党は「情報公開」が公約の柱のようですが、意思決定過程は不透明で、おかしな裏取引で民進党を買収してしまいました。選挙戦が始まる前から公約違反です。

私のような候補者は、「選別」対象になりかねない、「まな板の鯉」です。しかし、「まな板の鯉」にも五分の魂。「まな板の鯉」にも我慢の限界があります。民進党にはお世話になってきて、恩義を感じていましたが、こんな不当な扱いを受け、私の片思いだったことがよくわかりました。たいへん残念です。

私は「安倍政権を倒す」という目標に向かって努力してきましたが、安倍政権を倒した後に小池政権にでもなれば、より陰険で独裁的な非民主的政権になりそうな予感がします。

そもそも民進党は安保法制に反対しました。党の方針として反対しました。細野氏も民進党在籍時は反対していました。「希望の党」の入党の踏み絵で「安保法制に反対の人はダメ」というのでは、ほとんどの民進党議員は自動的にダメということになります。前原代表の説明を聞いて、民進党候補者全員で「希望の党」に移るものだと思っていましたが、こんな踏み絵を踏まされたら、全員移れるはずがありません。子どもでもわかる理屈が、前原さんにはわからないのでしょうか。わかっていてやっているのなら陰険です。

前原さんは代表選でAll for Allといっていましたが、まったくAll for Allではありません。前原さんのやっていることは、リベラル派の切り捨て、党の分断です。排除の論理で仲間を売るのが、All for Allなのでしょうか。

「希望の党」が掲げている政策を見ると、憲法改正や安保法制支持など、自民党の劣化コピーでしかありません。若狭氏が「政権奪取は次の次」と言っています。「希望の党」はやはり自民党の補完勢力です。民進党は、自民党の補完勢力である「希望の党」の補完勢力になり下がってしまいました。民進党が「補完勢力の補完勢力」になり下がるのを見るのはとても悲しいです。私は自民党に対抗する勢力をつくるために全力でがんばります。