現職議員だったころは週1回以上のペースでエネルギー政策の勉強会や会合に参加し、最新のトレンドに接する機会も多かったのですが、浪人してから勉強を怠っていました。わずか2年ちょっとエネルギー政策の勉強をさぼっている間に世界の自然エネルギーがすごいことになっているのに気づきました。
NPO法人環境エネルギー政策研究所が出している2015年の「自然エネルギー白書」から気になった部分を箇条書きさせていただきます。
- 2015年に風力発電の設備容量の累積が、原子力発電のそれを上回った。2005年に比較すると風力発電は10年で7倍に急増している。
- 風力発電は火力発電より安くなり、太陽光発電も他の電力の平均並みに迫っている。「自然エネルギーは高い」という感覚は過去のものになった。
- 自然エネルギー導入のトップランナーのデンマークは、発電だけではなく、熱供給でも先進的な取り組みを行っている。太陽熱温水、バイオマス、コージェネや温水タンクを地域単位で活用している。
- 2015年に世界で導入された発電設備の6割は自然エネルギーだった。新規投資に関しては、火力発電や原子力発電は傍流になりつつある。
- 2015年の世界経済は成長したにも関わらず、CO2排出量は前年並みであった。自然エネルギーの普及により、経済成長とCO2抑制の両立が実現しつつある。
- 2015年の自然エネルギーの投資額の上位3か国は以下の通り:(1)中国:1029億ドル、(2)米国:441億ドル、(3)日本:362億ドル(約4兆円)。中国の投資額はすさまじい。
- 日本の自然エネルギー比率は14.5%であり、5年前の約10%に比べれば急増している。しかし、先進国のなかでは自然エネルギーの比率は決して高くない。
こうした状況を見れば、東芝が経営破綻したのは先見性がなかったせいなのが、よくわかります。再生可能エネルギーで、東芝も企業再生してほしいものです。
2015年の自然エネルギー投資を見ると、日本もなかなかですが、それでも中国の半分以下です。ペルシア湾の情勢が不安定な時期だけにエネルギー安全保障の観点からも自然エネルギーの割合を増やすべきだと思います。
地球温暖化対策、エネルギー安全保障、コストなど、あらゆる面から考えて、自然エネルギーの割合を高めることが不可欠です。日本では風力や地熱の開発余地が大きく、自然エネルギーや省エネ、熱供給の伸びしろはまだまだあります。自然エネルギーの発展を阻害する要素をひとつひとつ取り除き、せめて欧州並みをめざす必要があります。