国連事務総長にグテレス氏

新しい国連事務総長に国連難民高等弁務官のアントニオ・グテレス氏が決まりました。適任だと思いますし、個人的にもとてもうれしいです。グテレス氏はポルトガルの首相を務めた後に、国連難民高等弁務官に就任、そしてこのたび国連事務総長です。

現職衆議院議員時代にグテレス氏と2度ほどお会いしたことがあります。ポルトガルなまりの聞き取りやすい英語のスピーチはとてもわかりやすく、世界の大きな流れにも触れ、大物政治家らしいレトリックのプレゼンテーションでした。笑顔が地顔になっているような人で、とてもあたたかい感じのする人です。候補者選考の公聴会でのパフォーマンスも抜群だったそうですが、政治家としての経験やスキルが役立ったのかもしれません。

リスボンのスラム街でボランティア活動をしていた際に、住民が抱える問題を解決するには政治を変える必要があると思い立ち、政治の世界に入ったそうです。政治家を志望した理由も共感できます。長く国会議員を務めた後に首相に就任しました。政治家としても尊敬できる方です。その後2005年に国連民高等弁務官事務所(UNHCR)の第10代国連難民高等弁務官に就任し、2期10年務めました。

UNHCR議員連盟だったか、衆議院外務委員会だったか忘れましたが、来日中の国連難民高等弁務官時代のグテレス氏との意見交換に参加したことがあります。グテレス氏は、「難民支援の現場では日本のNGOもがんばっている。たとえば、ピースウィンズ・ジャパンのプロジェクトはよかった」とおっしゃいました。そこで「実は、私は元ピースウィンズ・ジャパンのスタッフです。出身団体をほめて下さってありがとうございます」と申し上げたところ、グテレス氏は「それは知らなかった。お世辞ではなく、よい団体です。」という趣旨のあたたかいお言葉をいただきました。

グテレス氏が国連事務総長に就任すれば、シリア難民をはじめ世界の難民問題への国連の取り組みがより強化されることでしょう。個人的には、ボランティア活動(NPO)から政治の世界へ、政治の世界から難民支援の世界へという、心の底からうらやましいキャリアパスです。首相の後に国連難民高等弁務官、そして国連事務総長なんて、あこがれます。しかし、私の場合、あこがれる前に、まずは国政に戻らなくてはいけません。がんばらなくては。