私は、今回の衆議院選挙にあたり、「希望の党」ではなく、新たに立ちあがる「立憲民主党」から立候補することを決意しました。民進党にはお世話になりましたが、「希望の党」という右派政党とは相いれないので、いまはスッキリした気持ちです。
降ってわいたような小池新党「希望の党」への合流に関し、前原代表は9月28日の両院議員総会では、民進党候補は全員いっしょに「希望の党」へ移ると説明していました。私個人は、「希望の党」の結党メンバーに日本会議メンバーが多いのを見て違和感を覚えました。しかし、民進党全体で「希望の党」へ合流するのであれば、組織人・政党人としては党の方針に従わざるを得ないと考えました。選対会議では「耐え難きを耐え、忍び難きを忍び」と説明して、公認申請に同意しました。
ところが、いつの間にか「安保法制に反対する人はダメだ」とか、「憲法改正に反対の人はダメだ」とか、後になって条件がつきはじめました。リベラル派を「選別」して排除しはじめました。これでは前原代表による「上からのクーデター」あるいは「粛清」です。党内民主主義を無視する蛮行であり、政党のガバナンスのあり方として問題です。これでは「合流」というより「吸収」です。民進党側に主体性はなく、「希望の党」に言われるがまま従い、民進党候補者を守ろうとしていません。
そもそも民進党は安保法制に反対でした。党の方針として反対しました。細野豪志氏も民進党在籍中は反対だったはずです。それなのに「希望の党」の入党の踏み絵として「安保法制に反対の人はダメ」というのでは、ほとんどの民進党の議員や候補者は自動的にダメということになるのが、論理的な帰結です。平気でうそをつける人であれば楽々と超えられるハードルですが、そうでなければ眠れないほど悩むはずです。まともな政治家だったら迷いに迷うと思います。私は「希望の党」に行く民進党候補者を責める気はありません。小異を捨てて大同につくため、目をつぶって「希望の党」へ行くのもプラグマティックなひとつの考え方かもしれません。しかし、私自身は「希望の党」に参加するのは気が引けたし、もし当選したとしても長く「希望の党」に居続けられる自信はありませんでした。
私は、安保法制や憲法改正への態度を問われれば、「希望の党」とは相いれないことはわかっていました。また、民進党の代表選挙で公然と枝野さんを応援していたので、前原執行部から敵視されても仕方ないと思っていました。おそらく福岡県内の8人の民進党候補者のうちで、いちばん初めに「選別」され「排除」される対象は自分だろうという予感もありました。そのため「希望の党」の公認が下りないのは想定の範囲内であり、その場合は無所属あるいはリベラル新党での立候補の可能性も視野に入れていました。
しかし、想定外だったのは、民進党本部が「希望の党」公認候補の「刺客」を立てようと画策したことです。地元の民進党関係者を口説いて立候補させ、民進党関係者の身内同士で戦わせようとしていた様子です。候補に名前の挙がった人は党本部の説得に応じず、対抗馬の「刺客」擁立作戦は失敗したようです。これでは「希望の党」というより「陰謀の党」です。
ふつうは党の方針に逆らった人間に対して選挙区に「刺客」を立てるものだと思います。しかし、私の場合は、嫌々とはいえ、党の方針に従っていて「刺客」を立てられました。どんな大義があって民進党本部は「刺客」を送り込もうとしたのか理解できません。単なるリベラル派つぶしとしか思えません。
また、「安倍1強を止める、自民党候補を倒す」という目的に照らせば、私のほかに「希望の党」の候補者を立てるのは愚かです。私と「希望の党」候補者が戦い、自民党候補者が漁夫の利を得る可能性が高まります。もちろん論理的には「私が立候補を取りやめる」という選択肢もあり得ますが、これまで1年8か月準備してきて今さら立候補を取りやめるのは心情的にはあり得ない選択肢です。そんなことは誰が考えても当然のことです。
要するに、「希望の党」本部の意向としては、「自民党候補に勝ち、安倍政権を倒す」という目的より、「比例票の積み増しを狙い、自分たちの手足になる議員を増やす。そしてリベラル派議員を減らす。」という目的の方が上位にあるということです。自民党を利するような候補者擁立を見ても、「希望の党」が「自民党の補完勢力」との批判は的外れではないと思います。
いま晴れ晴れとした気分です。「希望の党」に属して、心にもないことを言わされることはなくなりました。ちょっと前まで安保法制反対と言っていたのに、突然その真逆のことを言わされるのはかなわないと思っていました。おかげで吹っ切れました。自分の良心に逆らうことなく、気持ちよく選挙戦にのぞめます。悔いのない戦いができることをうれしく思います。
私は、枝野幸男代表率いる「立憲民主党」に参加し、安倍政治を終わらせ、格差の少ない社会、公平ですべての人にチャンスのある社会、多様な価値観が認められる寛容な社会、子どもの貧困のない社会、平和な国際社会、原発ゼロを実現するためにがんばります。正々堂々と自らの信じる政策を訴え、信念を曲げることなく、全力で戦いたいと思います。